萌えが止まらんので吐き出させてください(^_^;)その2

極寒のシベリア、自分一人が生き抜くのに必死で他人の事など構っていられない極限状態では、辰雄の軍人としてのプライドなぞ何の意味も持たず、役にも立たない。
衆人監視の中、辰雄の存在価値を否定し、その愚行を非難するジュンシクは「俺はもうお前の部下の軍人ではなく、朝鮮のマラソン選手だ」と告げる。
こうして辰雄は二度も誇りを打ち砕かれるわけです。競技者としても、軍人としても。
ジュンシクとの諍いで、どちらかが先に死んでおくべきだったと辰雄は云うけど、これは明らかに陸上のライバルだったと云う過去も含めて云ってますね。
ジュンシクさえ居なければ、すんなり自分が代表になり、陸連の愚行によって誇りを失う事もなかった…こんなところで生き恥を晒すような軍人にもならなかった筈だ…全部コイツが居たせいだ…。そんな感じでしょうか。
それはジュンシクも同じで、辰雄を代表にしたい陸連の措置が原因で徴用され、こんな酷い目にあっている…ノモンハンでは理不尽な暴力を直に振るわれ、陸上競技者の命とも云えるシューズも燃やされた…。こんなろくでもない奴は殺したって構わない…と殺し合いの最中は考えていたと思います。
でも殺せなかった。
殺さなかったんじゃなくて、殺せなかったんだと思う。
ジュンシクは何故辰雄を殺せなかったんだろう。
ジュンシクはこの映画の中で唯一常識人と云うか、現代人から見てまともな神経の良い人間として描かれています。厳密に云えば、出番は少ないが辰雄の父(佐野史郎)も人格者である事が伺えるけど、それは置いといて。

そのジュンシクでさえ人殺しも辞さない憎しみを抱くと云う極限に達した精神状態で、辰雄を組み敷きナイフを振り上げた瞬間、ジュンシクはライバルを失いたくないと思っている自分に気付いたんじゃないだろうか。

ライバルって云うのは厄介な存在です。コイツが居なけりゃ俺が一番なのに、と憎しみを抱く反面、居ないと物足りない…。切磋琢磨し、互いの技量を高め合う存在でもある。

自分はマラソン選手と云うところにアイデンティティのあるジュンシクには、ライバルの喪失は耐えられない事だったんじゃないだろうか。
ジュンシクにとって辰雄は今でもライバルで、希望を捨てない性格のジュンシクは、いつかまた辰雄と競い合えるようになる事を望んでいるんじゃないか…。
そのライバルを殺すって事は、選手としての自分をも殺す事になるんじゃないか…。

これ以降辰雄とジュンシクの間に表立った対立はなくなります。
そしてジュンシクには友人をも犠牲にするジョンデと齟齬が生じる、辰雄には冷徹な上官でもきちんと慕う部下もいると云う面が描かれます。

◆辰雄の部下の死がきっかけで暴動が起き、首謀者として辰雄とジュンシクも処刑される寸前、捕虜も独ソ戦に駆り出される事になり、二人も戦場へ。
ソ連の将校に追い立てられるように敵に向かわされる捕虜兵士達。後退する兵士を射殺していく将校の姿にかつての自分を重ね、凄惨な戦場に半ば茫然自失で佇む辰雄を砲弾からジュンシクが庇う。

やがて戦闘は終結。
生き残った二人は死んだドイツ兵士の軍服を剥ぎ、それを着て同盟国であるドイツ陣営を目指す。
山を越える旅の途中、何故自分を殺さなかったか問う辰雄にジュンシクの答えはなかった。
二人は戦争で無人となった麓の村にたどり着くが、深手を負っていた辰雄は動けなくなる。薬を探しに外へ出たジュンシクは、居合わせたドイツ軍に不審者として連行され、二人は離れ離れになってしまう…。

これまでの価値観やアイデンティティが、この辺りで完全に崩壊した辰雄は、心の寄り所を無くした空っぽの人間になってしまいますが、それは同時にイデオロギーの呪縛から解放され、素の長谷川辰雄に戻ったとも云えます。

ジュンシクは決して辰雄を許したわけではないし、まだまだわだかまりもあるけど、辰雄を憎む気持ちは消えているようです。
素に戻った辰雄もまた、己自身や周囲の人々の言動を顧みる内に、ジュンシクへの憎しみが如何に謂われの無いものであったかに、そして人間を簡単にイデオロギーの犠牲にする愚かしさイコール自分の罪に気付いたと思うんです。

運命共同体として二人きりで過ごす内に、二人は初めて国家や民族や上下関係の一切無い、対等な一個人同士として向き合います。
そして多分この時、互いの存在が互いの中でどれ程重いものになっているか二人とも認識したのではないでしょうか…。

薬を探しに出て行こうとするジュンシクを辰雄が呼び止め、ジュンシクが振り返ると云うシーンがあるのですが、これがまあ、呼び止めた辰雄は何も云わずただじっと瞬きもせずジュンシクを見つめるだけ、ジュンシクもまた見つめ返すだけ…と云う沈黙の切り返しショットなんですよ(汗)。
…この辺でオレのBL脳が反応し始めた…(笑)。

真面目な話、辰雄はジュンシクにこれまでの事を謝ろうとしたんじゃないかと思うんですよ。或いは此処まで自分なんかを庇ってきてくれた事への感謝。
でもその思いは余りに重くて複雑で、うまく言葉に出来なかったんじゃないかと。

ドイツ軍に連行されるジュンシクは、置き去りとなってしまう辰雄の名前を必死に叫びます。
その悲痛な響きったら!
その声は身動きの出来なくなっていた辰雄にも聞こえているのだけど、身も心も弱ってるところへあんな声で呼ばれたら、もう堪らんでしょう(爆)。
まだ自分はあの男に、あんな声で呼んで貰えるのか…って。
ハイ、もうダメ。此処に至って辰雄陥落です(笑)。これは完全に落ちましたね~。辰雄の負け決定!
愛しちゃいましたね、これは…(爆)と云うところで、舞台はいよいよ「結」のノルマンディーへと移ります。

うわ~、まだ続いちゃうよ~(;∇;)/~~ どーするよ、オレ!(続)

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